フライフィッシングは、他の釣りに比べてラインが高価です。
私は今でもフライラインを捨てる(替える)のは、なかなか踏ん切りがつきません。
しかし冷静に考えてみると、フライラインは長持ちするので釣行1回当たりのコストは、他の釣り糸と変わらないか低コストです。
それでも買うとなるとかなり高額なので、できるだけ長持ちさせたいものです。
そこでこの記事では、フライラインを長く使うための方法を解説します。
フライラインの寿命を縮める要因
ラインが切れたことがない
そもそもですが、私がフライを始めて20年以上経ちますが、一度たりともフライラインが切れたことがありません。
そのことが、フライラインの替え時をわかり難くしています。
フライラインは、編み紐のコアにポリ塩化ビニルのコーティングがされていますが、コアの紐がとても丈夫で簡単には切れません。
ですのでラインが痛むのは、主にコーティング部分のみとなります。
フライラインの寿命を縮める要因には、以下のようなものがあります。
物理的なダメージ
ラインの重さでキャストするという性質上、ライン自体に自重があるので他の釣りでは考えられないような衝撃が掛かります。
岩などの障害物
フライラインに最もダメージを与えるのが、岩や砂、海であればフジツボなどの障害物に擦れることです。
このような障害物が多い渓流や海で使用するラインは、どうしても短命となっていまいます。
ロッドのガイド
フォルスキャストを多用するフライフィッシングでは、ガイドとの摩擦が頻繁に行われます。
トップガイドとバットガイドがSiCのロッドであれば、ある程度は軽減できます。
同じスピードで引っ張る場合、柔らかいロッドほど摩擦が強くなります。
ティペット絡み
細いティペットがフライラインと絡まったときに、無理に力をかけるとティペットがラインに食い込んで最悪の場合、表面のコーティング部を切断してしまいます。
自分のティペットに絡まるなら仕方ないですが、他者が捨てたラインに絡まってダメージを受けると腹が立ちます。
紫外線による劣化
フライラインの表面は、ほどんとがポリ塩化ビニールですので、紫外線を受け続けると劣化していきます。
表面がもろくなり、亀裂が入ってきます。
時間の経過による劣化
新品のラインを冷暗保存している場合はそうでもありませんが、ある程度使用してダメージを受けた状態では、保存しているだけで時間の経過とともに劣化していきます。
結び代(しろ)
ライン同士を結束するのには、どんなノットを使用しても、どうしても捨てる部分が出てしまいます。
フライラインとテーパーリーダを結ぶのも例外ではなく、結んだときの余りを切り捨てていくことになります。
フライラインは、キャスティングのために緻密に計算されたテーパーデザインをしていますが、切り詰めていくことでバランスが崩れていきます。
フライラインの寿命はどのくらいか
フライラインの寿命は、結局は使用状況により大きく変わることになり、一概に「何年」とか言えるものではありません。
フライラインの「替え時」の判断の目安は下記となります。
寿命が近づくとどうなるか
滑りが悪くなる
ラインの表面にダメージを受け亀裂などでラインの表面が荒れてくると、ラインの滑りが悪くなります。
ロッドガイドとラインの摩擦抵抗が増してくると、キャスト時に不快な「ゴリゴリ感」を感じてきます。
コーティング部分の亀裂が深くなると、ゴリゴリ感は「引っかかり感」に変わってきます。
同じような釣りをしていると、よく使うラインの長さは決まってきますので、ダメージを受ける部分も限られてきます。
頻繁にロッドから出入りする部分に深刻なダメージを受けると、全体的にはまだまだ使えそうなのに交換せざるを得ません。
深い亀裂がある状態で使い続けると、亀裂に砂を噛むなどしてロッドのガイドにダメージを与えます。
フローティングラインなのに浮かなくなる
新品の時は完全に水面上にラインが乗っていますが、ダメージを受けると浮かなくなってきます。
とはいえ、シンキングラインのように沈むわけではなく、水面付近を漂う感じになります。
硬くなる?
ラインが硬くなるとよく言われますが、10年程度では感じたことはありません。
しかし、大昔のガキの頃に初めて買ったフライ道具を物置(庭にあるタイプ)に20年ほど放置したら、さすがにバリバリに固まってボロボロ崩れました。
とはいえ最低限のメンテナンスをしていれば、10年程度で硬くなるようなことはないと思います。
結局、替え時はいつ?
これまでの説明でおわかりと思いますが、フライラインの替え時はケースバイケースです。
結局のところ、上記の「諸症状がどこまで許容できるか」という事になります。
現場でのストレスやロッドへのダメージなどを考慮し、許容範囲を超えたら交換となります。
フライラインを長持ちさせるには
少し前に渓流でメインで使っていたラインを交換しました。(上の写真)
シーズン平均50時間程度の実釣使用で8年使えました。
長持ちした方だと思いますが、下記のような点に気を付けて使用していました。
とにかく滑りを維持する
ライン表面に滑りが維持されていれば、キャスト時にストレスが減るだけでなく、岩などに擦った場合のダメージも最小化できます。
ラインコンディショナーを現場、車、自宅など、とにかく塗りたいときにすぐ塗れるように常備しておきます。
日常のメンテナンス
釣行前夜にティムコのリバイタライザーをラインに塗布します。
ティッシュなどに取らずに、指で直接刷り込んでいく方がロスなく塗れます。
この手の物の中では、一番長持ちする印象です。
現場で滑りが落ちてきたと感じたら、ボナンザLコートなどをひと吹きします。
お手軽で携行もしやすいですが、持続性がイマイチです。
キャスティング練習のときは、ジェルタイプの物を使用します。
耐久性はともかく、滑りという点ではこれが一番です。
ボトルが大きいので、現場に持ち込むのにはイマイチです。
釣り専用ではないシリコンスプレーも使用しますが、石油系溶剤の含まれているものは樹脂へのダメージが懸念されますので、無溶剤のものを選びます。
シリコンスプレー 樹脂対応をAmazonで探すオフシーズン等の長期保存の前に
オフシーズンなど、長期保存する場合は、LoonのLINE SPEEDを塗布し、同時に汚れを拭き取ります。
紫外線を防ぐ成分も入ってはいますが、当然ながら暗い場所に保管します。
ラインの巻き癖を取るために、径の大きなラインホルダーに巻き替える方もみえるようですが、自分は面倒くさいのでリールのまま保存します。
オフシーズンぐらいならリール巻きっぱなしで保存しても良いと思いますが、何年も使用しないのであれば、リールから出してゆとりある状態で保管した方が良いでしょう。
リーダーコネクタの使用
リーダーとフライラインの結束にリーダーコネクタを使用することで、結束によるロスを最小限にできます。
リーダーコネクタをAmazonで探すしかし私は直結派(ネイルノット)です。
リーダーコネクタがロッドガイドに干渉するストレスがあるのと、リーダーコネクタ自体が破損したことが何度かあったためです。
キャスティングのスキル向上
キャスティングの技術を向上させることで、ラインを長持ちさせることができます。
必要以上にラインスピードを上げず、スローでかつしっかりとターンするキャスティングを身に付ければ、物理的ダメージを軽減できます。
また、正確なタイミングでロッドに荷重をかけることができるようになると、ラインの滑りが少々悪くても気にならなくなります。
さらに、ティペットなどが絡みついて切れることもなくなりますので、致命傷を回避できます。
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