フライフィッシングをこれからはじめる、または新しい道具(ロッド)を買う場合に「何番を選ぶか」は迷うところです。
ある程度の経験を積んだフライマンでも悩むのに、入門者であればなおさらです。
予算が潤沢であれば、ゴルフクラブのように買いそろえるのもアリですが、現実的には厳しいと思います。
そこでこの記事では、フライフィッシングにおける「番手」について掘りさげてみます。
フライフィッシングの「番手」とは
フライフィッシングにおける「番手」とは、一言でいうと「ラインの重さの規格」ということになります。
#1、#2・・・(1番、2番・・・)となり、数字が大きいほど重くなります。
フックのサイズも同様に「#」で表記するので、ややこしいところではあります。
(しかもフックは数字が大きいほど小サイズです・・・)
誰が決めているのか
AFFTA(American Fly Fishing Trade Association)というところが定めています。
その名のとおり、アメリカの規格になります。
数年前までは「AFTMA」でしたので、古いロッドやラインにはには「AFTMA」と記載されていますが、規格の内容はおおむね踏襲されていると思います。
ほかに、リールフットのサイズなども定めています。
AFFTAリンク https://affta.org/page/IndustryStandards
下記は、シングルハンドロッド(片手投げ用ロッド)の実際の数値となります。
※重さは、先端(フライを結ぶ方)から30フィート(約9m)の重さです。
※1g ≒ 15.43grain。
※#1未満のタックルをラインナップしているメーカーもあります。
重いほうから #0、#00、#000・・・となりますが、個人的には必要性を感じません。
※別途、スぺイロッド用の数値も定めておりますが、ここでは割愛します。
番手選び方の基本的な考え方
結果的に20本余りのフライロッドを買う羽目になってしまった私の経験をふまえ、
番手の選び方についての基本的な考え方を説明します。
最初は素直に「ライン番手=ロッド番手」
フライフィッシングは、ラインの重さで毛鉤を投げますので、ラインの重さにバランスされた反発力のロッド番手をロッドメーカーは指定しています。
基本的には、ラインの番手=ロッドの番手を合わせておけばOKです。
「ライン番手>ロッド番手」とすると、ロッドから出ているラインが短いうちは軽いので良いですが、遠投しようとすると、ロッドの反発力が負けてしまい、ラインを飛ばすことができません。
ぼさぼさの藪沢のようなポイントで、常にラインを常に短めにし、短いロッドが使いたい場合、
#3ロッドに#4ラインを使用することはよくあります。
「ライン番手<ロッド番手」とすると、ある程度は良いですが、ロッドを曲げるほどの荷重を掛けれないほど軽いラインにしてしまうと、ロッドの反発力を生かすことができず、結果的に飛ばないことになってしまいます。
ライン番手はどう選ぶか
では、「ラインの番手をどう考えるか」ですが、
「投げたいフライ(毛鉤)の重さやサイズ感と投げたい距離」ということになります。
とはいえ、これには具体的な数値基準があるわけではなく、ある程度の幅を持たせるほうが
汎用性がありますので、ざっくり下記のような基準でよいと思います。
渓流のドライフライ | #5以下 |
中・下流域、湖など小型フライ | #3~#8 |
海、湖、大河のストリーマーフライなど | #5以上 |
高番手の方が大きいフライを投げることができ、遠投が可能となります。
対象魚のサイズ感で番手を説明している情報を見かけますが、番手はあくまでもフライのサイズ感と釣り場の規模(=投げたい距離)で決めるべきです。
結果的には対象魚のサイズ感に比例した番手傾向にはなりがちですが、あくまでも結果であり、
基本的な考えとしては正しくありません。
「大は小を兼ねる」は正しい
高番手で小さいフライを投げれますが、逆は成立しません。
とはいえ、下記の制約を考慮しながら番手を選んでいくことになります。
1.釣り場の制約
例えば、多くの渓流は樹々に覆われており、長いロッドを振り回すことは困難です。
私が知る限り、6フィートで#9、のような短い高番手のロッドは市販されておりませんので、想定するポイントで使用可能なロッドの長さの範囲でラインナップされている番手のなかから、高番手を選ぶことになります。
2.体力の制約
フライフィッシングは、ロッドを振りまわす頻度が他の釣りより多いといえます。
自分の体力で対応可能な、重さのラインを選ぶことになります。
例えば、渓流のドライフライは、キャストの頻度がさらに増えます。
渓流で#9ロッドを1日じゅうセカセカ振り回し続けることは私にはできませんが、#5ぐらいなら余裕でできます。
3.予算の制約
予算が潤沢にある場合は、番手を刻んでゴルフクラブのように揃えることはできます。
しかし、ほとんどのロッドは部屋でホコリをかぶることになります。
自分の使用シーンを考えて選び、釣りをしていくなかで不足を感じたら買い足す、というアプローチのほうが幸せになれます。
上記の制約を考慮しながら、自身の状況のなかで高番手を選ぶのが間違いありません。
「自分は渓流ドライフライで小さい毛鉤しか使わないので#1」と、最初からしてしまうと、
初っぱなから釣りの世界を大きく狭めてしまいます。
突然現れた大きな滝つぼで後悔することになります。滝つぼは常に向かい風です。
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まとめ
- 番手とは、フライラインの先端30フィート(9m)の重さの規格である。
- 基本的にラインの番手と、ロッドの番手は合わせる。
- 番手は投げたいフライの大きさ、空気抵抗で決める。
- 大は小を兼ねる。自身の使用状況のなかで高番手を選ぶ。
今回は以上となります。
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