シリコン洗車を2年間続けてわかったこと【メリット・方法・注意事項】

シリコン洗車
シリコン洗車

シリコン洗車(またはシリコーン洗車)をご存じでしょうか。
数年前に一部で話題になり、評価やインプレも賛否があるようです。
私自身は当初からメリットを感じたため、2年たった今も続けています
否定的な意見の中には誤解からくるものも多く、この記事ではその点も含め、方法、注意事項を解説します。

※正しくは「シリコーン」なのですが、「シリコン」の方が普及しているようですので、当記事では「シリコン」と表記します。

シリコン洗車とは

信越化学工業のKF-96-50CS

使用するシリコンオイル

シリコン洗車とは、シリコンオイルを塗布し拭き上げる洗車スタイルとなります。
使用するシリコンオイルは、信越化学工業の「KF96-50CS」が推奨されており、私も素直にそれを使用しています。
FK96」は、信越化学工業の製品の中でも標準的なシリコンオイルとなっています。
50CS」は、シリコンオイルの硬さ(粘度)をあらわす記号で、シリコン洗車の考案者の方が
試行錯誤の末に最適と判断した値になります。

シリコンオイルの特性(メーカーHPより抜粋)

シリコーンオイルは、一般に無色透明の液体で、耐熱性、耐寒性、耐水性に優れています。
また、広い温度範囲にわたって粘度変化が少なく、電気特性にも優れています。そのほか、離型性、はっ水性、消泡性、潤滑性なども兼ね備えています。

耐熱性熱酸化に対する安定性に非常に優れています
耐寒性耐寒性に優れ、低温用メチルフェニルシリコーンオイルは、65℃でも流動性を保ちます
粘度安定性低温から高温まで広い温度範囲で粘度変化が少ない
化学的安定性化学的に極めて不活性。室温なら10%以下のアルカリ水溶液や30%以下の酸水溶液にはほとんど影響を受けません
非腐食性・他材料への影響金属をはじめ、多くの材料に対して悪影響を与えることがほとんどありません
低表面張力水や一般の合成油に比べて、きわめて低い表面張力の値を示します
生理作用KF-96については、低粘度品を除いては、大量に摂取しないかぎり、ほとんど無害で、化粧品原料などに幅広く使われています

~~~~(抜粋ここまで)

日本の四季程度の環境変化の範疇では、非常に安定した性能を維持します。
逆に言えば、普通のカーワックスやコーティング剤と違い、硬化せずいつまでもオイルであり続けます。
また、非腐食性があり他材料や人体への影響も少なく、下手なカーシャンプーなどよりは安心して使用できます。

洗剤としてのシリコンオイル

洗車をしていると、爪でカリカリやらないとなかなか取れないような強固な汚れに手を焼きます。
シリコンオイルは、このような汚れやイオンディポジットなどに浸透していき、汚れを破壊します。
すぐに除去できないような汚れに対しても、徐々に時間をかけて浸透させ、汚れを崩壊させようという発想です。
手軽(短時間)に除去しようとすると、どうしても強めのケミカル研磨的なものに頼ることになり、ボディー表面にはあまりよろしくありません。
細かい砂や鉄粉、ボディ面などにもコーティングされれば、布等でこすってもボディへの傷が最小限にできます。

カーシャンプーのすすぎ不足でイオンディポジットができる事がありますが、シリコンオイルが残っていても何の問題もありません。(むしろ既存のディポジットを除去しようとしてくれます)

ワックスとしてのシリコンオイル

シリコンオイルの撥水力は、カーワックスなどと遜色ありません。しっとりとした深い艶もあります。
しかし、研磨剤などは一切入っていないため、細かい傷を消すようなことはできません。

保護強度についてですが、シリコンオイルを塗布した面は、非常に滑りますので、ある程度の角度の衝撃は逃がしてくれます。
硬さを売りにしている製品よりは劣る印象ですが、通常の固形ワックス程度の保護は期待できます。

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シリコン洗車の手順

シリコン洗車の手順は、難しいことは何もありません。
シリコンオイルはあらかじめ、使用しやすいように霧吹きなどの容器に移しておきます。

水洗い

まずは水洗いで、大き目の砂などの汚れを洗い流します。

シリコン塗布

水を含ませながらショップタオルでシリコンオイルを塗り広げる

ボディが濡れたままの状態で、シリコンオイルを少量ずつ(霧吹き2~3回程度)、ボディに塗布し、濡れたショップタオルで塗り広げます。
ホースのノズルを霧吹きモードにし、ショップタオルで、水とシリコンオイルを混ぜながら塗り広げるイメージです。
強固な汚れ等には、直接多めに塗布し浸透を促します。
ガラスや黒樹脂パーツなどにも同時に塗布していきます。
ショップタオルが黒くなったらどんどん新しいものに変えていきます。
黒くなったショップタオルは、汚れがひどい下回りやホイール、マフラーなどで再利用します。

このぐらい汚れたら新しいショップタオルに交換。この程度であれば、ホイールやマフラーを洗うのに再利用できる

ショップタオルは洗車だけでなく、様々な用途で使用できる、丈夫なペーパータオルです。
表面にエンボス加工がされており、掴んだ汚れを離しません。

Scottショップタオルの表面
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シリコンの浸透を待つ

この時点では、シリコンオイルがムラだらけになります。
汚れの状況にもよりますが、最初のうちは長めに(2~3時間)放置して、古い蓄積した汚れに浸透させます。
私は現在では、ほぼ待つことなく最初に塗布したところから順に拭き上げに移行します。

拭き上げ

完全にきれいにするのであれば、マイクロファイバータオルで拭き上げればほぼムラになりません
一見、シリコンオイルも除去されてしまったように見えますが、水を垂らしてみると撥水します。
ここで強固な汚れがあっても、無理せずシリコンオイルをまた塗布して次回の洗車まで放置し様子を見ます。

拭き上げ用のマイクロファイバータオル。常に車中に一式常備しておくと便利
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シリコン洗車を続けている理由(メリット)

私がシリコン洗車を続ける理由を述べる前に、私の車の前提条件を記載しておきます。

  • エブリイ(DA17V)の銀(シルキーシルバーメタリック)
  • 新車購入時にガラス系コーティング(5年保証のもの)を施工。
  • 最初の1年間はシャンプー洗車のみ。
  • 3年、65,000km程度(記事執筆時点)。
  • 高速道路の使用が多い。
  • 季節にもよりますが、平均で1回/月程度の洗車頻度。

車体に優しい

前述したとおり、非腐食性・他材料への影響がなく、人体にも無害なので、塗装面や車体を傷めることがありません

ワックス効果も標準的なレベル

ゲリラ豪雨がくると、コロコロ流れ落ちる

ワックスとしての撥水効果も標準的な固形ワックスと変わらない印象です。
基本的には雨さえ降らなければ相当長持ちするのですが、雨の多い季節でも平均的なワックス程度は効果が持続しています。

黒樹脂パーツの黒さがすごい

黒樹脂パーツの塗ったところが一目瞭然

黒い樹脂パーツに塗ると、信じられないぐらい、黒さが復活します。
アーマーオールなどの専用品に比べても、黒さが勝っています。
しかしながらこの部分は耐久性がなく、数時間程度のゲリラ豪雨で黒さが落ちてきます。
とはいえ、買取査定前などにこれを塗っておくだけでも、査定額が変わるのではないかという期待感があるほどです。

ガラスの撥水が長持ちする

もともとレインXを使用していましたが、シリコン洗車をするにあたり、油膜取り(いわゆる「黄色ビン」)で完全に除去したうえで、シリコンを塗布しました。
明確な理由はわかりませんが、なぜかレインXなどより撥水が長持ちします。
塗りすぎに注意すれば、視界が悪くなることはありません。

ガラスとシリコンの相性が良いのか、ワイパーをがんがんに使っても、いつまでも撥水し続ける
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コスパが良い

KF96-50CSは、記事執筆時点でAmazonで1kgが2,000円程度で販売されています。
月イチ程度の頻度では、2年たっても半分も減っていません
他の目的にも使用しているにもかかわらずです。
また、水の使用量も、従来の洗車よりはかなり減っています。
シャンプーを使用しないため、泡切れが完全に消えるまで、長時間だらだらと水を流す必要がないためです。

部分洗いが可能

外出先などで部分的に汚れたときに、ショップタオル、シリコンオイル、霧吹きを常備していれば、その場で対応できます。

私の車の場合は、車体の両サイドは非常に撥水が長持ちしますが、ボンネット~フロント回りはまとまった雨で撥水が弱くなっていきます。気になったときに、気になった個所だけ洗うことができます。

時短

洗車にかかる時間が圧倒的に短くなりました。
手間も時間も短くなると、洗車そのもののハードルが低くなり、頻繁にやっても良いかというマインドになってきます

シリコン洗車の誤解

効果が長持ちしない?

施工後1週間程度で撥水効果がなくなった」という情報を見かけます。
これはほとんどの場合、勘違いです。
一見、水を弾かなくなった部分を指でなぞると、撥水が復活するのが確認できます。
一時的に砂汚れが付着しているに過ぎません。
そして、砂汚れがつきやすくなるのは、ほとんどの場合、こてこてに塗りすぎ(拭き取り不足)によるものです。

虫を寄せる?

ユスリカやブユなどの小型の虫が、大量に付着していることがあります。
実はシリコン洗車でなく通常のワックス洗車でも、虫が大量にボディに止まります。
しかし、シリコンは硬化せずいつまでもオイル状であるために、コテコテに塗って放置しているときには虫を絡め捕ってしまいます
つまり、虫がへばりついてしまうのは、拭き取り不足という事になります。
拭き上げ後のシリコンが薄い状態であれば、止まった虫も再び飛び立つことができるので普通のワックスと変わりません。

光沢に寄り付く虫。シリコンがべとべとの状態だと絡め捕られて飛べなくなる。

シリコン洗車の注意事項

シリコーンメーカーは推奨していない

信越化学工業のHPでは、KF96は「洗車を想定した製品ではない」旨の記載がありますあくまでも自己責任で行ってください。
とはいえ、悪影響はありませんので、安心して使用しています。
わけも分からず中途半端な情報でシリコン洗車をし、クレームをつけてくる輩への予防線のために記載していると思われます。

洗車後の最初のブレーキの効き

シリコンオイルがブレーキ部分に付着すると、洗車後の最初の一瞬だけブレーキの効きが甘いことがあります。
本当に一瞬のことではあるのですが危険ですので、洗車後初動に一発だけ強めのブレーキを踏んでおくことをお奨めします。

刷毛(はけ)の使用

刷毛の毛のを束ねている金属パーツに注意。ボディに傷がつきます。

最初に砂汚れを落とすときや、黒樹脂パーツやタイヤなどに塗布する場合に、刷毛を使うと作業性が上がります
しかしながら一般的な刷毛は、毛を束ねる部分に金属板やワイヤーを使用しています。
注意しないと、この金属部分でボディを傷つけてしまうことがあります。

スマホ画面などが白くなる

シリコン洗車後は、指に大量のシリコンオイルが付着しており、スマホやカーナビの画面を触ると、真っ白になります。(ただし、マイクロファイバーで拭くとメッチャ綺麗になります!)
内装の樹脂パーツにも使用できますが、カーナビ画面等も指で触れると白くなるので、気になる方は
極力、薄めにした方がいいです。

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