フロロカーボンラインは何を基準にして選んでいますか?
性能、コスパ、ブランドイメージなど、選択基準は人それぞれです。
釣具店には、バスフィッシング用フロロカーボンだけでも多数の商品が陳列されており、価格もピンキリです。同じ100m巻きで700円程度のものから2,000円を超えるものまでありますが、値段ほどの性能差はあるのでしょうか?
正直なところ、国内大手の製品であれば、性能面では大差ないと思っています。
しかしながら、わずかであっても性能差は確実にあり、大物を本気で狙っている人ほど「わずかな差」が気になってしまいます。
25年以上にわたって、同じようなポイント(湖北ロックエリア)で同じようなリグで、様々なフロロカーボンラインを使用してきましたが、性能差、当たり/はずれは確実にあります。
格安フロロで、悔しい思いをしたこともあります。
この記事では、その経験を踏まえ、フロロカーボンラインの性能について説明します。
フロロカーボンラインとは
フロロカーボンとは
フロロカーボンラインとは、フッ化ビニリデン樹脂を主原料とした、単線の釣り糸です。
呉羽化学工業が1971年に発売した「シーガー」が最初のフロロカーボンラインとなります
フロロカーボンの特性
フロロカーボンとナイロンの比較
フロロカーボンとナイロンの違いは下記となります。
フロロカーボン | ナイロン | ||
---|---|---|---|
原料 | フッ化ビニリデン樹脂 | ポリアミド系樹脂 | |
比重 | 1.78 | 1.14 | フロロの方が早く沈む |
吸水性 | ない | ある | フロロは吸水による劣化が少ない |
柔軟性 | 硬い | 柔らかい | フロロの方が飛距離が出ない |
伸び | 少ない | 多い | フロロの方が伸びがなく高感度 |
直線強度 | ナイロンより弱い | 強い | 同じポンド数を実現するにはフロロの方が太くなる |
結節 | 直線強度の70% | 直線強度の85% | フロロの方が結束による強度低下が大きい |
水中での屈折率 | 1.42 | 1.53 | フロロの方が水に馴染み見切られにくい |
紫外線劣化 | 少ない | 多い | フロロの方が寿命が長い |
- 比重が重い(水に沈む)
- 伸びが少ない(感度が良い)※ナイロンでも10lbを超えてくると伸びが気にならなくなる印象です。
- 吸水しない(吸水による劣化が少ない)
- 屈折率が低い(魚から見えづらい?)
フロロカーボンの価格の差は?
フロロカーボンは同一メーカの商品でもグレード(価格差)があり、安いものはナイロンラインの価格を下回るものもあります。
一概には言えませんが、各メーカーの上位グレードと下位グレードを比較すると、上位グレードのほうが細くなっているようです。
つまり、同じ直線強度(ポンド数)で細く作られているものが高価となっている場合が多いです。
具体的に見てみましょう。
下記は東レのエクスレッドのグレード比較になります。
3lb | 4lb | 5lb | 6lb | 7lb | 10lb | 12lb | 14lb | |
エクスレッド | 0.156 | 0.176 | 0.198 | 0.219 | 0.232 | 0.282 | 0.300 | 0.329 |
エクスレッド typeNS | 0.148 | 0.165 | 0.185 | 0.205 | 0.218 | 0.260 | 0.285 | 0.310 |
上位グレードのtype NSの方が径が細いのがわかります。
パッケージに記載されている太さですが、実際に計測したところ、国内大手の製品は概ね信用できる正確な値であることはマイクロメーターで確認しています。
フックのシャンクなども計測できるマイクロメーターは、あると何かと便利です。
YGKのフロロのUGO V6(安い)とオルトロスの比較だと、オルトロスの方が太いですが、4lbでありながら、「Real lb 5.1lb」と記載があります。
やはり、細くて強度が出せているものが高くなっているようです。
理想的なフロロカーボンラインとは
理想的なフロロカーボンラインとは、低伸縮、高感度などのメリットを活かしたうえで、フロロのネガティブな部分を改善したものであると言えます。
ナイロンに比べて直線強度が低いため、同じポンド数でもナイロンより太くなってしまいます。
ナイロンより硬いうえに太いので、キャスト時の抵抗になり、飛距離がでません。
しなやかさがないのでスプールの馴染みが悪く、スプールいっぱい巻くと、ライントラブルが多発します。
また、細くしなやかなラインはコイル状になりにくく、ライトリグの操作性や感度に影響しません。
上位グレードのフロロカーボンは、下位のものより細く、しなやかなものばかりです。
フロロカーボンの使いどころ
私の場合は琵琶湖湖北のオカッパリがメインですが、8割ぐらいはフロロカーボンラインを使用しています。
スピニングタックルのライトリグ
軽量ジグヘッドのスイミングや底モゾ、最近ではネッドリグなど、スピニングリールでは4~5lbのフロロカーボンラインをメインに使用しています。
ラインは細くなればなるほど伸びやすくなりますが、ナイロンラインよりフロロカーボンの方が伸びにくいので断然使いやすいです。
たとえば軽いリグ(ジグヘッドやテキサスリグ)などで、石を一個ずつ越えてくるような繊細なアクションは、ナイロンだと10lbより細いものでは困難を極めますがフロロでは余裕でできます。
(※ナイロンでも10lbを超えてくると、伸びが減り繊細に攻めることができる印象です。)
バスフィッシングにおいては、細いラインになるほどフロロカーボンラインのメリットを生かしやすいと言えます。
私がメインとしている冬の琵琶湖では、北風との闘いは避けられません。
風が吹けば、水面下数十センチに吹送流という湖流の層ができますが、沈みやすいフロロカーボンの特性が、この湖流に対して有利に働きます。
ヘビキャロのリーダー
琵琶湖では三又ヘビキャロが主流ですが、ヘビキャロのリーダーとしてフロロカーボンを使っている人が多い印象です。
感度や見えにくさのメリットに加え、フロロカーボンの硬さからくる張りで、メインラインへ絡みにくくなります。
おすすめのフロロカーボンライン4選
YGK オルトロスFC(OLLTOLOS FC)
最近、多用しているフロロカーボンラインです。
しなやかで使いやすい印象です。
例えば1号、4lbに「Real lb 5.1lb」と記載されています。つまり4lbとしても細い部類なのに、1ランク上の強度を実現しています。
比較的新しい製品で10巻ほどしか使用していませんが、今のところ理不尽な切れ方をしたことがありません。
東レ エクスレッド type NS (EXTHREAS type NS)
昔からあるソラロームのエクスレッドの上位グレードです。「NS」は「ナノ・スリット」の略で、ラインそのものに縦方向にナノサイズ(10の-9倍、10億分の1)レベルのスリットが入っています。
メーカーの商品説明ページに貼り付けてあるフィールドスタッフみたいな人のYoutube説明では、横方向にスリットが入っているような説明をしていますが、それは勘違いで実際はこちらが正しいようです。
スリットが入っているというと、釣り人としては不安がありますが、強度的にまったく問題ありません。
こちらもしなやかさと強度が両立できている印象です。
バリバス ガノア アブソルート (GANOA ABSOLUTE)
150mで2,000円台後半で売られていることが多く、自分の使っているラインでは一番高価ですが、75m(75mでマークあり)を2回に分けて使うことを考えればそうでもありません。
自分の地域ではお店で見かけることが少なく、見かけたら買っています。
サンライン FCスナイパー インビジブル(FC SNIPER INVISIBLE)
INVISIBLE(見えない)の名のとおり、薄いグリーンに着色されており、水に馴染む印象です。
このラインは、いわゆる「細いライン」ではないのですが、なぜかしなやかでスプール馴染みが良いです。
一巻75mなのも、スピニング2000番~2500番スプールの自分にはちょうどいい長さです。
3.5lb、4.5lbなどの中間をフォローしているのもメリットです。
あの製品がない?
バサーの中でも評価が高い、シーガーR18ですが、自分は今は使っていません。
強度的には他社より頭ひとつ抜きんでているのは間違いなく、自分も一時期はR18ばかり使っていたのですが、「不可解な切れ方」で、何度も悔しい思いをしています。
自分はロックエリアで細ラインを多用するので、ラインチェックはしつこいほどするのですが、この製品はラインチェックでは一見、問題なく見えるのに、突然切れてしまうことが何度もありました。
「丈夫さ」が裏目に出ているのではないかと考えています。
ラインが痛んだ時はわかりやすく毛羽だってくれた方が、平気なふりして突然切れるよりは信頼できます。
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